「君はオレにとっての鍵だな」だってさ。

キミはおれにとっての鍵だな。

合コンであぶれていた2人なのに、彼は自分と私の出会いを運命だったみたいに大袈裟に言う。本当は趣味も趣向も全く違う2人なのに、見つからなかったパズルのピースがぴったりはまる気分だよとか。体育会系でどう見ても熊五郎みたいな顔をしているのに、イベントごとも大切にするし、女の子みたいに記念日を忘れない。男気が強くそのくせおっちょこちょいだから、最初こそ素敵だと思っていたけど、最近はだんだん、頼りないと感じることもある。

昨日も私の部屋にバイクの鍵を忘れて行き、それに気づかず、バイクで来たことさえ忘れて駅まで徒歩で歩き、途中のコンビニで立ち読みしているところに私が追いついて鍵を渡してあげた。エロい雑誌を立ち読みしていたことを誤魔化すためか、また大袈裟なリアクションで「君はオレにとっての鍵だな」だってさ。どこに錠前がついているのだろうか。

鍵を忘れたのは初めてじゃないし、普段から鍵の扱いが雑だと思う。鍵をしまうキーケースを持つように提案したが、女々しいものは持ちたくないの一点張り。鍵どころか小銭さえポケットに突っこんでお財布を持たないものだから、ジーンズのポケットはいつも小銭で膨らんでいる。彼がサラリーマンになってスマートにスーツを着こなす姿なんて、とても想像できない。

それでもやっぱり、私たちは彼が言うように、運命の出会いだったのだろうか。破れ鍋に綴じ蓋の関係なのか。トキメキこそないけど、どんなにダメな部分を見せられたって、気持ちが冷めるということはない。元々燃え上がっていないと言われたらそれまでだけど、彼には何か、姉のような母のような、いつまでも心配してあげたいという気持ちがある。こんな気持ちは初めてだから、もしかしたらこのまま彼と、本当に彼の鍵となり生きていくのかもしれない。